全ては「良いプロダクト」を作るためー
ヤプリ開発チームのプロジェクトごとに
最適な人材が集まる働き方とは
田村 有正
- 【プロフィール】
田村 有正 (たむら・なりまさ) プロジェクトマネージャー、テクニカルアカウントマネージャー - 中国国内の広告代理店において広告企画、サービス企画を経験。日本に戻ってからはWEB開発会社において、ASP系のECサービスのプロダクト開発、またWEB系のシステム開発において様々なプロジェクトに携わる。現在は新規事業グループに所属。
チームの作り方も変えていますよね。早速ですが概要を教えてください!
プロジェクトごとにリーダーを立て、都度メンバーをアサイン
ヤプリではプラットフォームの開発や、お客様が既に利用されているシステムとの連携などを進めていくにあたり、プロダクト開発部内でチームを組みます。以前は開発チーム1、2、3のように固定のチームを作っていましたが、今期からはプロジェクトごとにチームを編成する形に変えたんです。
まずは四半期ごとにプロジェクトの候補をリストアップするところから始まります。これはセールス担当者やクライアント様からの要望、制作チームから生まれたアイデアなどがベースです。全社で共有した後、実際にプロジェクトとして承認されたものについては陣頭指揮をとるリーダーを選任。リーダーの元にメンバーが集い、プロジェクトのチームが組成されます。
たとえば私がリーダーを務めるプロジェクトに「アプリのUI/UXの多様化」があります。これは「お客様がYappliでアプリを作る際に、レイアウトの選択肢が広がるともっと使い勝手がよくなるよね」という考えから始まりました。
これまでもYappliではレイアウトを自由に変更できたのですが、iOSとAndroidでメニューの位置(タブナビゲーション)が異なる仕様になっていたんです。その点について、お客様から「同じ位置に表示したい」という要望がありました。Yappliのリリース時に比べてスマホ端末の種類も増え、状況も変わってきていましたから、これを機に「ナビゲーション周りを始めアプリのレイアウトを見直してみよう」とプロジェクト化したんです。
このプロジェクトの場合は、私も含めて6人のメンバーが集まりました。アプリのUI/UXを担当するデザイナー、サーバー側の開発をするサーバーサイドエンジニア、アプリの動作を実装するiOS、Androidのアプリエンジニアです。
チームができたあとは、まず最初に目標とするゴール地点を設定します。プロジェクトの成果物をワイヤーフレームにして共有し、それを基にどこまで実現できるのかをメンバーで精査していくんです。この段階で機能面の要件を整理しておけば、全体のイメージが共有できるので、UI/UXデザイナーがモックアップを作れます。あとは動きの部分を詰めながらプロトタイプへと落とし込んでいく、という流れです。
プロジェクトの内容によっては、リリースまでに半年ほどの期間を設定しているものもあるので、その場合は2回目のミーティングにて最初の四半期で目指すところを共有しながら進めます。
従来との違いという観点では、やっぱり毎回チームを作る部分ですよね。なぜこのスタイルを取るようになったんですか?
限られた時間の中で、個々の能力を最大限生かす仕組みとは
背景として、プロダクト開発部全体で「プロダクトをもっとベースアップしていかないといけない」という共通認識がありました。限られた時間の中で各メンバーの能力を生かし、成果を最大化するにはどうしたらいいか。それを考えた結果、プロジェクトごとにチームを組成してみることにしたんです。
というのはチームを固定していると、場合によってはチーム内で完結しない要素が発生することがありました。たとえば社内にUI/UXデザイナーが数名いたとして、それぞれ「アプリのデザインが得意な人」「ウェブのデザインが得意な人」のようにバックグラウンドの違いから得意な領域が異なる場合があります。そうすると、各メンバーのチームが固定されてしまうことで、チームごとに適性のバラつきがでたり、柔軟性に欠けてしまったりする可能性がある。それなら「プロジェクトの要件やゴールに合わせて、毎回最適なメンバーでチームを組む仕組みはどうだろう」と。まだ手探りの状態ではありますが、今のところ上手くいっています。
ただメンバーの適性を踏まえつつも、「このプロジェクトに参加することでもっと仕事の幅が広がりそうだな」という視点でメンバーをアサインすることも多いです。
たとえば、これまではサーバーサイドだけで完結する業務が多かったメンバーがいれば、他チームとコミュニケーションをとる機会の多いプロジェクトに入ってもらったり。それによって新しい知見や経験を得ることもできますから。
もちろんしっかりと良いプロダクトを作り、お客様に提供するというのが前提にはなります。ただ個々のスキルが上がっていくことは会社の大きな資産にもなりますし、それが結局はプロダクトやお客様にも良い影響を与えるはずですから。そのような視点もチームを作る際に大切にしています。
自分から名乗りを上げてプロジェクトを希望することもできます!というかプロジェクト化される前から勝手に始まっているケースもあるんです(笑)ちょっとした機能改善の場合だと、現場のメンバーが「『ここを改善するといいかもね』という話があったので、やってみました」とボトムアップで、いつのまにか始まっていることもあります。
「スタンプカードの機能改善」はまさにそうでした。もともと提供していたスタンプカード機能に関して、お客様の使い勝手を改善するとともに、管理画面の入稿スタイルをシンプルにしようという想いで立ち上がりました。 何人かのメンバーから複合的にアイデアが出ていたので、「どのような仕様がニーズにマッチしているのか」をプロジェクト化して洗い出していったんです。するとこれが、かなり評判が良かったんです。スタンプカードを導入していなかったお客様が使ってくださるようになったり、入稿業務をしている社内メンバーからも工数が大幅に改善されたという声があがったりして。 ケースバイケースではありますが、各々がアイデアを出してプロジェクトを作り、それを「実際にお客様に提供するとしたら何が必要か」という視点でリーダーを中心にフォローアップする仕組みは、理想形のひとつです。
田村さんから見て、チームの仕組みはどうでしょう?
いいアウトプットが社内外に伝わるきっかけにも
ポジションや部署によって、役割や考え方、仕事の進め方も異なります。ただ「良いプロダクトを作りたい」というゴールは同じなので、それに向けて個々の能力をいかに発揮できるか。その面ではひとつに凝り固まらなくていいなと。
「こうなったらいいんじゃないかな」という想いで生まれたプロジェクトに対して、いろいろなメンバーからフィードバックが集まれば、質の高いアウトプットにも繋がります。
これは毎回リーダーを立ててプロジェクト化することによる変化ですが、エンジニアが作ったものがより正しく評価されたり、認知されたりするようになったと感じます。プロジェクトを立てるということは、「このプロジェクトによって、プロダクトがどのように良くなるのか」「お客様にどんな価値を提供できるのか」をきちんとアナウンスするということです。
プロダクトの改善は必ずしも見栄えのいい華やかなものばかりではありません。それでもいい取り組みは社内にしっかりと伝わり、それがゆくゆくは社外にも届くようになる。エンジニアのアウトプットを伝える「メガホン」のような効果も生まれています。
ヤプリのエンジニアはプロダクトをよく見ていて、機能改善のアイデア一つとってもバリエーションの幅が広いなと日々感じています。そのようなアイデアがうまく表現されて形になるプロセスをもっと整備できれば、最終的には良いプロダクト、良いユーザー体験にもつながるはずです。
種となるアイデアはたくさんあり、それを芽吹かせることでより太い幹にできるんじゃないかと考えているので、そのための仕組みを作っていきたいですね。
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